君待ち人




明らかに白河くんのテンションが下がった。



「大丈夫?」



なぜか落ち込んでいる白河くんの顔を覗き込む。


さすがに疲れたのかな?




「だ、大丈夫」





白河くんはすぐに顔を上げたけれど、私と目が合わない。わざと逸らされている。


なんか様子が変だけど、大丈夫って言ってるから大丈夫だよね。



私が「そっか」と唇で弧を描けば、白河くんは走ったせいなのか頬を赤く染めて「お、おう」と下手な相槌を打った。






借り物競争が終わり、赤軍の陣地に戻った。緋衣ちゃんがいるところへ行く。


緋衣ちゃんに声をかけると、爆笑が返ってきた。




「ど、どうしたの?」


「あはははっ!もう、桜最高!」


「え??」



私、何かしたっけ?


お腹を抱えて笑う緋衣ちゃんに、首を傾げて考える。




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