君待ち人
緋衣ちゃんは私の肩に手をおいて、私を褒めた。え、これ、褒められてるんだよね?違う?
というか、私って鈍感なの?それに、大笑いできるレベルって一体どんなレベル?
わからないことだらけで、ちんぷんかんぷんだよ。
「あ、あとさ」
「なに?」
「会長と副会長、なんかあるっぽくない?」
いきなり声量を落としたと思ったら、話題が変わった。緋衣ちゃんの好きな話題だ。
うんともすんとも反応できない自分に、困惑する。
……私も、そう思う。
心の中では、同意する。緋衣ちゃんには伝わらないとわかっているけど。
「『大切な人』って、確実に恋人でしょー」
「そう……だね」
振り絞ってようやく発することができた声音は、想像以上に暗く、弱々しかった。
そうとしか、考えられないよね。
「やっぱりあの二人できてたかー」
緋衣ちゃんは生徒会長と凪雲先輩の恋に興味津々なようだ。