君待ち人
あぁ、どうして涙が溢れそうなんだろう。
胸がぎゅぅっと縮こまって、歯がゆさが滲む。
あれから十年もの月日が過ぎた。
君は一体、どこで誰とどんなことをしているの?
早く、迎えに来てよ。
私、ずっと、ずっと、待ってるんだよ―――。
「ん……」
「大丈夫か?」
「大丈夫?桜」
ゆっくりと瞼を持ち上げると、白い天井が真っ先に視界に広がった。
あれ……私、なんでこんなところに?
「ここ、どこ?」
「ここは保健室。桜、急に倒れたんだよ」
緋衣ちゃんの説明で、全て思い出した。
そうだ、私、障害物競走の後に……。
額に手を置く。まだ頭には、ズキズキと鈍い痛みが蠢いている。
「心配かけてごめんね」