君待ち人





久し振りに、若葉公園の前までやってきた。



本当に久し振りすぎて、言葉が出てこない。




懐かしさと切なさと嬉しさがこみ上げて、混ざって、濁流となる。


なんだろう、この気持ちは。




初めて感じる、いろいろな感情がひしめき合ったこの気持ちに、なぜだか涙が浮かんだ。





「……あれ?」



ふと、公園の奥にある人影が見えた。


誰かいるのかな?




……もしかして……。



私の足は、無意識に動いていた。


公園の奥にある、ベンチへと。





桜の木の下を通り、花びらが舞うトンネルをくぐる。


そこには、見知った人物がベンチに座っていた。




「副会長……?」




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