君待ち人
たとえ、汚いものや忘れたいものを洗い流してくれるとしても、嫌なものは嫌だ。
雨が降ったら、心も気持ちもどんより暗くなる。
せっかくいいことがあっても、雨のせいで嬉しさが半減してしまう。
それに、公園でまったりと待ち人を待てないし。
うん、やっぱり雨なんか嫌い。
「あーでも、雨降ったらテニスできないじゃん?そこがデメリットなんだよねー」
クリームパンを食べ終え、はあーとため息をついた。
緋衣ちゃんは本当にテニスが好きなんだなあ。
私は運動全般苦手だから、体育がある日は雨が降っても晴れてても、変わらず嫌だけど。
「今日、部活何するの?」
「基礎体力作りだって。グラウンド使えないんじゃ、そういうことするしかないよね」
「大変だね」
「毎日筋肉痛で、ホント疲れる」
緋衣ちゃんは大きく顔をしかめながら、肩に手を置いて、数回肩を回した。
運動が得意な緋衣ちゃんでさえ、筋肉痛になるほどの基礎体力作り……。ハードなんだなぁ。
「しかも五限英語じゃん……。最悪」
緋衣ちゃんはどうやら英語が苦手らしく、げんなりした様子で机に伏せた。