君待ち人




私は、英語は苦手でも得意でもなく、普通。


辛そうな緋衣ちゃんを見て、「頑張れ」と苦笑いをしながら応援した。





「あ!!」





すると突然、緋衣ちゃんはガバッと顔を起こした。


ビクッと大げさに肩が上がる。



ど、どうしたの!?





「話そうと思って、忘れてた……。ねぇ、桜!相談、乗ってくれる?」



お弁当を片付ける私の手を握り、上目遣いで頼まれる。


相談……?




「いいけど……何?」


「あのね、実は……か、彼氏とデートすることになりまして」





緋衣ちゃんは、りんごみたいに真っ赤な顔を恥ずかしそうに下に向けて、語尾が小さくなりながらも話し出した。


か、可愛い!!



私はキュンッとしながら、抱きしめたい衝動を抑えた。




「デートって、もしかして初デート?」


「……そうなんです」




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