あ
「「お世話になりましたー」」
あたしと朱里はふたり揃って病院を出る。
「真冬、お母さんが送ってくれるって!
そのあとご飯食べに行こうよ
やっと味の濃いもの食べれるよ」
にひひ、と笑う朱里の後ろに車が止まる。
「真冬ちゃん、久しぶり」
にこにこ笑う朱里のお母さんは
顔立ちこそ、朱里とあんまり似てないけど
笑いかたはそっくりで、
この人たちはやっぱり家族なんだなと思った。
「お久しぶりです。
送ってもらえて嬉しいです」
乗り込んだ車内では、
楽しげに病院での出来事を報告する
朱里の独壇場だった。
マシンガントークでいつまでもいつまでも
話続ける朱里のお陰で、
あたしはゆっくりと窓を流れる景色を
懐かしむことができた。
そろそろ家に着く。
「ありがとうございました。
朱里、ご飯は今度行こう。
じゃあ、明日学校で」
ええー!と大きな声をだしながら
窓に貼り付く朱里を見て、からから笑った。