僕の初恋
僕とキヨノさんは、あの日通った道を今日は一緒に歩いている。

キヨノさんの家に行く途中の道は本当に暗くて、人通りが無かった。

確かに一人で帰るのはちょっと・・って感じだな。

でもそのおかげで、こうやって二人っきりで歩けるわけだけど。

途中で僕はキヨノさんと色々な話をした。

そうこうしているうちにキヨノさんの家に着く。

僕はマンションのような家を想像していたのだけど、それは全く違っていた。

キヨノさんが住んでいるのは平屋の小さな家だった。

かなり古い木造の建物で、それこそ昭和の初期に建てられたんじゃないかと思えるぐらい。

家の周りには背の高い草がのびている。

植えられたものではなく勝手に生えてきた雑草のようだ。

玄関には、なぜかしめ縄が飾ってある。

なんかちょっと怖いんだけど・・。

キヨノさんのイメージと随分違う感じだ。

「送ってもらってありがとうございます。良かったらあがってってください。お茶ぐらい入れますから」

「えっ、いいんですか? 」

僕は嬉しくてついそういってしまった。

家の雰囲気とかは、いきなりどうでもよくなった。

玄関で靴を脱いで上がると、すぐに居間だった。

古い畳の部屋の真ん中に、小さなちゃぶ台みたいなものがある。

部屋に入って、僕はまた少しびっくりした。

まず目に入ったのは壁一面に書かれている変な模様だ。

どす黒い色のペンキのようなもので書かれている。
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