僕の初恋
「虚は自由意志の中で生まれる必要があります。すべてをうばってしまっては結局ただの人形と同じですよ。自分が選んだ選択肢の中で、あきらめ絶望する。私たちがしていいことは、横に伸びた枝を剪定(せんてい)することぐらいですよ」

「なるほど・・」

まどろっこしいものだ。

しかし人の理(ことわり)を超えるものであれば、人の力だけでは生み出せないということか・・。

「それで、虚ができあがった際には私も魂寄(たまよせ)に同席させていだけるのでしょうか? 」

私は森本に聞いた。

今でも忘れられない。

子供のころ見た魂寄(たまよせ)の儀式を。

それは神々しく、人の世ではありえない光景だった。

その儀式には望楽土(ほうらくど)への貢献が大きな者のみが同席を許される。

「そうですね考えておきましょう。先生の功績は決して小さいわけではないですから。例え催眠に一部問題があったとしてもね・・」


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第九話へ続く
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