僕の初恋
私は自責の念に耐えられず、何度も自殺しようとした。

そんな時に私の前に現れたのが、今の両親だ。

両親は熱心な望楽土の信者だった。

私を施設から家に引き取って、毎日話しを聞いてくれた。

そして望楽土の教えを話してくれた。

私は望楽土の教えを信じることで救われた。

私は望楽土のためなら何でもする。

それが、望楽土と両親への恩返しをする唯一の方法なのだから。



「須藤君、今日からはキヨノちゃんのお友達のことを中心に聞いていくよ」

先生が言った。

島本教授のことは、みんな先生と呼ぶ。

「お友達ですか? 」

キヨノちゃんにお友達がいるなんて初耳だ。

催眠で、人と親しくしないように制限をかけているはずなのに・・。

先生の催眠が効いていないということなのかしら?

「そうだ。キヨノちゃんが好意を持っている男の子らしい。二人の関係がどういう状態なのか、あとはキヨノちゃんの心の状態がどうなのか、より細かく確認してく必要がある」

先生がまじめな顔で言った。

「分かりました」

先生はキヨノちゃんを虚(うつろ)という物にしようとしているみたいだ。

虚は望楽土の中でも秘儀に関係する事柄らしい。

だから虚が、いったい何なのかといったことは一切教えてもらえない。

でも私はその秘儀の手伝いをできていることがうれしい。
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