僕の初恋



アタシはどうにか二人がいる土手のところまで歩いて行った。

傷は浅いが出血が止まっていない。

頭がぼおっとする。

「よおっ、お二人さん」

少し離れたところから声をかける。

精一杯元気に言ったつもりだが、そうでもなさそうだ。

「なっ、仙崎、こんなところで何を・・? 」

坂本が振り返って言った。

びっくりしているようだ。

そりゃびっくりするか・・。

デートの最中にあたしが登場だもんな。

ふふっ。

これじゃまるでストーカーだよ。

「ゴメンな。ジャマして・・」

アタシは坂本にあやまった。

その時、近くにパトカーのサイレンが聞こえてきた。

ああっ、刑事さん来てくれたんだ。

アタシは気が抜けてよろめいた。

「わあっ」

でも、びっくりした坂本がうまくキャッチしてくれた。

「仙崎ケガしてるの? 」

そして心配そうに、聞いてくる。

なんかこういうのも悪くないな。

好きな奴に抱きかかえられるってのも・・。

好き?

あぁ、アタシ坂本のことが好きなんだ・・。

アタシは初めてそのことに気付いた。

「大丈夫、ちょっと・・かすった・・だ・け・」

そして気を失った。


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第十五話へ続く
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