僕の初恋
「おい・・」
誰かに体をゆすられている。
「おい、サッシ、起きろ」
キヨノさんの声だ。
サッシ?
またキヨノさんがサッシって呼んでる。
「ん、どうしたの?」
僕は寝ぼけた様子じゃないよう、できるだけちゃんと話そうと努力する。
「俺が誰か分かるか?」
「えっ、キヨノさん?」
ポコッ。
僕は頭を軽くはたかれた。
「キヨノが俺って言うわけねぇだろ」
「えっ?」
僕はわけが分からなかった。
「拓だよ。たぁ~く。分かるか?」
「えっ、拓?ネットの?」
目の前にいるのはキヨノさんだ。
でもキヨノさんは自分を拓だって言ってる。
「いいか、分かりやすく言うから大至急理解しろよ」
拓は命令口調で言ってくる。
僕はとりあえずうなずく。
「俺は拓だ。何度もネットで話したろ」
「で、でも、キヨノさんだよね」
それを聞いて、キヨノさんは頭をかきはじめた。