彼女のみる世界
まりえはアンケート用紙を美玲に返した。
「やめてよ。先生たちに言ったところで何も変わんないんだから。どうせ、あいつらは『チクった』ってまた私をいじめるに決まってる。そんなことしても、いじめがヒートアップするだけ。」
そう。あいつらは、不当な理由で簡単に人を傷つける奴等。
人間の、クズだよ。
「でも……言うことで何かが変われば……」
「だから、何も変わんないの!!」
大声を出すと、美玲がビクッと肩を震わせた。
「あ……ごめん。とにかく、私は書かないから」
美玲を押し退け、手洗い場からさっさと去る。
もう、誰を信じていいかわかんないよ。