彼女のみる世界
まりえは、昔から人前では泣かなかった。
泣いたら負け。泣いたら弱い。
そんな何かが彼女の胸の中にあったから。
まりえは涙を拭うと、アンケート用紙をビリビリに破いた。
ゴミ箱に投げ入れ、ベッドに横になる。
もう、嫌だよ。
朝を迎えたくない。
朝を迎えれば、またあの人たちに……。
かといって休めば、直ちゃんを心配させるし、あいつらからも変な噂を流される。
選択肢なんて、なかった。
まりえは目を閉じて、眠りについた。