彼女のみる世界



外はどしゃぶりの雨が降っていた。

さっきまでは晴れだったのに。


校門を出ようとすると、近くの部室棟から大きな物音がした。

なんだろう……?

気になって部室棟の方へ、おそるおそる歩みを進めると、そこには信じられない光景が広がっていた。

「……っ!!直ちゃんっ!」

翔平たちが直樹を囲んで、笑っていた。

「ハハッ。馬鹿だよなー。なーにあんな女のために俺たちにはむかってんだよ」

「もうお前は人気者じゃねーんだよ」

そう言って直樹に馬乗りになると、頬を何発も殴る翔平。

「直ちゃんっ!」

飛び出そうとしたが、戸惑った。

今直樹を助けたら、私まで巻き込まれるんじゃないか。

そう思うと足がすくんだ。



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