こと×ゆいDays~純情少女と幽麗系男子~
茜色の光が射す窓際……じゃなくて、そのすぐ隣。
壁にもたれ、薄暗い影へ身体を溶け込ませているのは……男の子?
追われていることも忘れ、好奇心のまま1歩近づいたわたしは、息を呑む。
クラスが違うから話したことないけど、忘れるはずない!
「シライくん!」
雪みたいな銀色の髪。
真っ赤な宝石みたいな瞳が、頭ひとつ分高いところでわたしを映す。
「……オレに、何か用?」
どこか気怠げな声。
右手の文庫本がパラパラと風に吹かれたけど、気にする様子もなさそう。
「もしかして……立ったまま寝て、ました?」
「仮にそうだとして、何かきみにデメリットでもある?」
……やってしまった。
わたしってば、ぶしつけに何てことを。