こと×ゆいDays~純情少女と幽麗系男子~
 
 茜色の光が射す窓際……じゃなくて、そのすぐ隣。


 壁にもたれ、薄暗い影へ身体を溶け込ませているのは……男の子?



 追われていることも忘れ、好奇心のまま1歩近づいたわたしは、息を呑む。


 クラスが違うから話したことないけど、忘れるはずない!





「シライくん!」




 雪みたいな銀色の髪。


 真っ赤な宝石みたいな瞳が、頭ひとつ分高いところでわたしを映す。



「……オレに、何か用?」



 どこか気怠げな声。


 右手の文庫本がパラパラと風に吹かれたけど、気にする様子もなさそう。



「もしかして……立ったまま寝て、ました?」


「仮にそうだとして、何かきみにデメリットでもある?」



 ……やってしまった。


 わたしってば、ぶしつけに何てことを。
 
< 16 / 49 >

この作品をシェア

pagetop