こと×ゆいDays~純情少女と幽麗系男子~
「じゃ、少し職員室に行ってくるわ」――そう言い残して、微笑ましげに保健室を出て行く黒木先生。
「わたしがいると安心する……か」
ザァー――……
窓ガラスににじむ空模様は、朝と全然変わらないのに。
〝松風っ!〟
必死になってわたしを呼ぶくらいに、何かが変わった。
ほんの数時間で、蒼井くん……きみに何が起こったんですか?
「……ん」
「あ、目が覚めました?」
ゆっくり開いたルビーの瞳が、わたしを映してまばたきを1回、2回。
「よかったです……急に倒れちゃったから、わたしビックリしちゃっ」
「まつかぜっ!」
「て、え?」
目の前で、シーツが舞い上がる。
ポスッと肩に重みを感じた後、ぎゅうぎゅうと締め付けられる息苦しさ。