図書館で再会した君を…
手にしたハンカチを唇に重ねると、まるでキスをしているような昂りを感じ
『…きっと、明日も会える。』
と、小さく息を吐き出しながらつぶやいた。
だから、落し物箱には入れなかったんだ。
だから、俺は今は預かっているだけなんだ。
と、言い訳みたいに自分を納得させて。
きっと、明日もあの子に会えるはずだ。
きっと、あの子の目を見て言葉を交わすんだ。
と、期待ばかりが膨らんでいった。
―――
翌日、学校が終わると同時に俺は全力で走って自宅に帰り着いた。
塾専用のバッグに教科書だとかノートだとかを乱雑に突っ込んで、机の上に置いてあった魚模様のハンカチをそっとポケットに忍ばせて。
わくわくする気持ちと、
ドキドキする心臓と、
緊張して強張っている身体。
それを感じながら、自転車のペダルを力強くこいで図書館へと向かって行った。