図書館で再会した君を…
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あの子にハンカチを返した日から、塾がある日以外にも図書館に行くようになっていた。

『杏』という名前しか知らない俺にとっては、唯一の繋がりがそこにしか無かったからだ。

でも、今度会って話しかけた時には、もうハンカチの事だなんて覚えていないかもしれない。
そう思った頃には、既に半年が過ぎていた。



一年が過ぎ、俺は中学生になった。

もう会えないのかもしれないと、図書館に行く回数が減り始めたけれど、それでも、元々読書が好きだった事もあって、時間のある時には図書館へと足を運んでいた。


二年が過ぎ、中学二年生になった。

友達が、好きな女子の話で盛り上がるようになっていたけれど、俺には興味が無かった。
そんな中、後輩だとか同級生の女子に告白される事が増えてきて。

あの子…『杏』に見た目が似ている女子と付き合ってはみたものの、俺の気持ちが追い付かなくて直ぐに別れるのが落ちになっていた。


三年が過ぎ、中学三年生になった。

受験勉強に夏期講習。息抜きに図書館で読書をする。
それが俺の夏休みの習慣になっていた。

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