図書館で再会した君を…
同じ名前の女子は、俺の学校にだっているじゃないか。
そもそも学年だって違うかもしれない。
気になるなら…自分の目で確かめればいいだろ。
そう自分に言い聞かせて二人のいる方に目線を向けると、一人は髪をふたつに束ねていて、もう一人はショートカットで前髪をピンで留めている。
俺の視線は、ショートカットの女子に釘付けになった。
3年という月日は過ぎていたけれど、丸みを帯びていた顔の輪郭はシャープになっていたけれど、見間違えるわけがない。
図書館で、俺が初めて恋をした【杏】本人だった。
あんなに会いたいと願いながら、3年も会えなかったのに。
こうして同じ高校の受験生として居る事が、奇跡に思えた。
神様の悪戯なのかもしれない。
でも、それでも、嬉しいと思う気持ちには変わりなかった。
杏と俺が合格したら、当たり前のように毎日会えるかもしれない。
淡い期待が希望に変わった俺は、
『絶対、受かってみせる。』
と、掌をきつく握り締めて試験に挑んだ。