図書館で再会した君を…
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筆記試験と面接も無事に終わり、合格発表の日。


雪がチラつくほどに寒かったけれど、掲示板に貼り出された合格者受験番号表を見上げた。

そこに俺の受験番号があるのを確認した後も、掲示板の前に立っていた。

杏の番号は分からないけれど、どうか合格していてほしいと願った。

10分くらい立ち尽くしていると、杏と試験当日に一緒にいた友人が二人で走ってきて掲示板を見上げだす。

前もって二人で番号を教えあっていたんだろう。
手を握り合いながら喜びの声を上げていた。


『あったね!!二人とも合格したよーーー!嬉しい!!』
『4月からまた一緒だね!やりぃ!!』



杏が、合格していて本当に良かった。

これからは同じ学校の同級生。

もしかしたらクラスメイトになるかもしれない。

4月からは、今度は君に少しずつ想いを伝えていこう。と、俺は温かで穏やかな気持ちを胸に抱き、その場を後にした。




この学校の図書室は本が充実している。
と、パンフレットに書いてあった。
読書は相変わらず好きだけれど、あの図書館に行く事もなくなるのかもしれない。

春休みの間だけでも、初恋をしたあの場所に入り浸ってみるのもいいかもしれない。
…と俺は思った。


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