イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
私は首筋を手で押さえながら反論する。

昔、小さい頃やんちゃな従兄に耳を噛まれた事はあったけど、まさか大人になって男の人に首を噛まれるとは思わなかった。

どんだけお腹が空いてるんだ!

「可愛い子ほど意地悪したくなるのよ」

奈々子がクスッと笑う。

「はあ?理解できない」

私は顔をしかめる。

でも、意地悪という点は納得出来る。

刹那さんは楽しそうだったし……完全に遊ばれてた。

「あんたそのうち本当に食べられるかもね」

奈々子の不吉な言葉に、私はうんうんと赤部子のように頷く。

「奈々子もそう思う?私なんて肉付き良くないし、食べたって美味しくないのにさ」

「あんたほんと馬鹿。もう、一回ぐらい鷹司先輩に食べられなさい!」

奈々子が呆れたように呟き、彼女にペシッと頭をはたかれる。

「うっ‼痛いよ、奈々子。何で叩くの?」

叩かれた頭を押さえながら、私は上目遣いに奈々子を見る。
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