イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活

「わあ、ありがとうございます！ところで……学ランの胸ポケットに入れておいたペン、使ってもらえたでしょうか？」

久世さんは覚えているだろうか？ちゃんと気づいてもらえたかな？

「もちろんだよ。大切にしてるよ」

久世さんが優しく微笑む。

良かった。

久世さんの答えを聞いてホッとする。

高校生と言えども、うちの学校は良家の子女が通ってたし、持ち物はブランド物を持ってるのが当たり前だった。

久世さんは趣味がいいし、ディテールにもこだわりそうだったから使ってもらえてるか心配だったのだ。

最初は消えものがいいかと思ったんだけど……直接渡さないと怖くて食べる気にはならないだろうし……。

散々迷った末、イギリスのブランドのペンを購入した。

価格はお手頃だったけど、シックなデザインで機能性もあって……長く使ってもらえると思ったんだ。

「でも、どうして急に高校の時の話を？」