イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「昨日たまたま夢を見て……思い出したんです」

「そうなんだ。桜子ちゃんの夢に登場させてもらえるなんて光
栄だな」

久世さんが柔らかな笑みを浮かべる。周囲の空気もなんだか温かくなった気がする。

久世さんが直接夢に出てきたわけじゃないけど、まあいっか。

余計な事を言えば、この空気がまた変わるような気がする。

「そう言えば、薫子の件だけど、結婚式の当日に成田からニューヨーク行きの飛行機に乗ったみたいだよ」

「ニューヨーク?」

……まさかお姉ちゃんが海外逃亡するとは思わなかった。

でも、結婚式の当日に飛行機に乗るなんてかなり計画的じゃない?

式の後に新婚旅行するなんて聞いてなかったし……。

お姉ちゃん……何考えてるの?

「そう。僕が掴んだ情報では若い男性も一緒だったらしい。刹那から何か聞いてない?」
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