イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
私がぎこちなく歩く姿を見て刹那さんがポツリ。

「バイトは一週間は無理だな」

確かに自由に歩けないし、久世さんに迷惑かけてしまうのは嫌だし、休むしかないだろう。

私が刹那さんの言葉にコクリと頷き、彼がお祖父さんの病室のドアを開けようとしたその刹那、ガラガラっとドアが開いて長い黒髪の女の子が刹那さんの胸に飛び込むように思い切り抱きついた。

「刹兄さま!会いたかった~」

刹兄さま?

誰なんだろう、この子?凄く綺麗な子だな。目鼻立ちがはっきりしてて、色も白くて……おまけに私よりも小柄なのに胸もある。

フリフリのラベンダー色のワンピースなんか着てて、深窓のご令嬢みたい。

刹那さんはポンポンと軽く彼女の肩を叩きながら、普段滅多に見せない優しい笑顔を彼女に向けた。

「久しぶりだな、雪乃。桜子、俺達の従妹の雪乃だ」

刹那さんと右京さんの従妹?

鷹司家の家系ってみんな美形なのね。
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