イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「馬鹿、無茶するからだ」

いつものように刹那さんに叱られる。

ええ、そうですね。

私はドジだし、雪乃ちゃんみたいに可愛くないですもんね。

「下ろして下さい。歩けます!私の事は放っておいてください」

私が刹那さんの腕の中で暴れると、彼は面白そうに私を見た。

「泣くほど痛いのに?言うこと聞かないなら入院させるぞ」

「雪乃さん達と楽しく話してれば良いじゃないですか!」

私は声を上げると、刹那さんから顔を背けた。

自分でもわかってる。これは僻みだ。

でも、自分の感情をどうすることも出来ない。

「何をそんなに怒ってる?その煩い口は黙らせないとな」

刹那さんが私を見てニヤリと笑う。

……まさか、キスして口塞ぐとか?

私が警戒していると、刹那さんは右足で私の身体を支えながら、スーツのポケットを探りピンクの包み紙に包まれた飴を取り出した。

「あっ……」

思わず声が出る。

刹那さんは器用に片手で包み紙を取って、飴を私の口の中に放り込む。
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