イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
オースティンの『高慢と偏見』の本を広げ、「ダーシー」っと至福の笑みを浮かべながら呟く。

ダーシー?ああ、本のヒーローの名前か。

お目出度い性格。

こんなところで一人で寝て、誰かに襲われるとは全く考えてないらしい。

仕方なく俺の学ランを彼女にかけて他の男子を牽制した事も度々あった。

胸ポケットについてるバッジを見れば、彼女に手を出す馬鹿な奴はまずいない。

生徒会役員しかつけられないバッジ。しかも、会長だけは金色で他の役員とは色が違う。

これを見れば、大抵の奴は俺のと思うだろう。

無防備な彼女が危なっかしくて見てられなかった。

桜子を見てると庇護欲をそそられる。

何度彼女の可愛い寝言を聞いて、何度寝顔を見守っただろう?

彼女を見守っている間は、何故だかわからないが心が安らいだ。
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