イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
懐かしい思い出。

今その顔を見るまで桜子の事はすっかり忘れていた。

目の前にいる彼女は制服ではないが、あの時のまま。

可愛い顔をしているのに、行動がリスやハムスターみたいな小動物そっくり。

口一杯に食べ物を頬張る姿はまさにリスだった。

凄く美味しそうに食べる姿に思わず感心。

見てて飽きないし、面白かった。

側に置いて餌付けしたい。

そんな衝動にかられそうになった。

婚約するなら、桜子の方にしておけば良かったかもしれない。そしたら、少しは楽しめたのに。

そう思わずにはいられなかった。

薫子はとても頭が良く鋭い女だ。

顔合わせの時に、俺が桜子を見ていた事に気づいたのだろう。

俺に新しい契約を持ちかけてきた。自分の契約違反は棚に上げて。

ほんと図々しい女。

だが、彼女の提案は俺にとっては好都合だった。
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