イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「お前の建前はわかった。それで、何が欲しいんだ」

お前の目的はどうせ金だろう?

俺は蔑むような目で薫子を見た。

「話が早くて助かるわ。当座の生活費プラス旅行費用。あと、今後の生活のためにマンションも用意して。桜子にも私の両親にも妊娠の事と花嫁が代わる事は秘密にしてよ。お説教はされたくないから」

強欲で我が儘な女。

彼女を妊娠させた男に同情する。死ぬまで金をふんだくられるだろう。

「ずいぶんとお前に都合のいい条件だな」

図々しいにも程がある。

「あら、私は桜子を差し出すのよ。桜子だけでは足りないかしら?そんな事ないわよね?式の当日、私は海外に逃げるわ」

俺の冷ややかな眼光にも怯まず、薫子が妖艶に微笑む。

身重な体で飛行機に乗るのはどうかと思ったが、この女にそれを言ったところで聞く耳持たないだろう。
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