イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「お腹の子の父親と豪遊か?捨てられないよう気をつけるんだな」

「あら、心配してくれるの?」

「いや、単に俺が重荷を背負いたくないだけだ」

俺が冷淡に言うと、薫子はムッとした顔になった。

「ほんと、冷たい男ね」

「お前に言われたくない」

「私は本当に桜子の事、気にかけてるのよ。本よりももっと素敵な世界があるのに、あの子は現実を見ようとしないんだもの」

綺麗にマニキュアを塗った手をヒラヒラさせながら、薫子がぼやいた。

「反面教師が目の前にいるからな。本に逃げる気持ちもわかる」

俺がクスッと笑うと、薫子は憤慨した。

「あんた、私に喧嘩売ってる?この話、乗るの?乗らないの?」

「わかった。お前の条件で手を打とう」

怒る薫子を面白そうに眺めながら、俺は軽く頷いた。
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