イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「せいぜいあの子を可愛がってやって」

薫子は後ろ手に手を振ると、俺のオフィスを出て行く。

それから、式の当日、計画通り薫子は逃亡。妹の桜子が仕方なく身代わりを引き受けた。
最初は俺に反抗していた桜子だったが、日が経つにつれ次第に俺の存在を受け入れるようになった。

彼女との生活は俺にとっては新鮮だった。

毎日のようにハラハラさせられ、桜子との生活に退屈という文字はない。

右京に言わせると、桜子と一緒にいるようになってから、俺はかなり機嫌がいいらしい。

「刹那兄は桜子ちゃんがいなくなったら腑抜けになるかもね」

端から見てそう思うくらい俺は桜子にはまっていたのだろう。

最初は好奇心から彼女と住む事に決めたが、すぐに手放せないと思った。

秋人の存在ははっきり言って邪魔だった。

何も知らない桜子に薫子の情報を与え、その結果として不安になった桜子は不眠で倒れた。
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