イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「勝手すぎるよ!お姉ちゃんはいつだってそう。自分さえ良ければ人が傷ついてもどうでもよくて。少しは私の気持ちを考えてよ!私はお姉ちゃんの玩具じゃないんだよ!もう私を巻き込まないで!」

俺と薫子の事を誤解した桜子は、一気に捲し立てると持っていた結婚指輪をバンとテーブルに叩きつけた。

「お幸せに!」

そう言い残して桜子は目に涙をためながらラウンジを走り去る。

秋人は俺に挑戦的な笑みを浮かべると、彼女の後を追った。

「久世、桜子の事が好きなのね。でも、桜子の方はすっかり鷹司に夢中のようだけど」

薫子が秋人の後ろ姿を見ながら面白そうに笑う。

「それで、鷹司はどうする気?」

「お前を義姉さんと呼ぶのは気が引けるが、あれを手放せないからな」

「私だってこんなふてぶてしい義弟いやよ。でも、桜子があんたが好きなら認めてあげるわよ。さっさと追いかけたら?」
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