イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「俺の事を名前で呼ばないと、もっと熱いキスをするが……」

鷹司さんが黒い笑みを浮かべながら、私に顔を近づけてくる。

ち、ちょっと待って!

もっとお堅くて品行方正の真面目キャラだと思ってたのに……。

意外に肉食系でかなり意地悪。

「言います!言います!」

私は鷹司さんの唇に私の手を押し当てた。

「……せ、刹那さん」

「 " さん " が余計じゃないか?」

「先輩ですし、これが限界です。ご理解下さい!」

「まあ、今日のところはそれでよしとするか」

フッと微笑すると、刹那さんは私の手から指輪を奪い、私の左手を手に取り、ゆっくり指輪をはめていく。

式の時にも同じことをされたのに、今の方が緊張するのはなぜだろう?

指輪のサイズがピッタリだから?

薬指の指輪をじっと見ていると、何を思ったか刹那さんがその指輪にチュッと口付けた。

ギャアー‼

声にならない悲鳴が出た。
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