イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「榊さんとかなり親しそうですね」

「従弟だからな。桜子と同い年だ」

「クラスは違ったけど、桜子ちゃんと同じ学校だったんだよ」

「え?そうなんですか?」

申し訳ないけど全然記憶にない。

「刹那兄ほどじゃないけどね。僕もそれなりにモテたんだよ」

榊さんが苦笑する。

「……すみません。覚えてなくて」

「あはは。謝られると余計惨めなんだけど……」

「ごめんなさい。……あ‼」

また謝っちゃった。

慌てて口を押さえると、刹那さんが急に表情を変え私の方を見た。

「右京の事は放っておけばいい。それよりも、これから病院に着いたら薫子の事は誰にも言うな。言ったら融資の件は、白紙だ」

刹那さんの目が怖くて、私は口を押さえたままこくりと頷く。

それから、病院に着くまではずっと無言だった。

病院に何の用があるというのだろう。

まさか、私に嫁としての適正があるか検査されるとか?

車は有名大学病院の前で停車し、再び刹那さんに手を捕まれる。
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