イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「そう言えば……麻子さんも本が好きじゃった。愛読書は源氏物語で……‼」

刹那さんがお祖父さんの話を突然遮った。

「俺達はもう帰ります」

「おい、ここからが良い話なんじゃ」

「年寄りの話は長くなりそうですからね。忘れてませんか?俺達は今夜が結婚初夜ですよ。曾孫を抱きたければ無駄話は止めて早く寝てください」

「せ、せ、刹那さん!」

私は恥ずかしさで一杯で、ここが病院ということも忘れ顔を真っ赤にして声の限り叫んだ。

そんな私を見て、彼がどこか企み顔で微笑む。

刹那さんのメガネがキラリと光った。

ま、まさか……本気じゃないでしょうね?

一抹の……どころかかなり不安。

お姉ちゃん、どこにいるの?

お願いだから早く戻ってきて~。
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