イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
5、想定内って? ー 桜子side
「ふーん、薫子の身代わりね。刹那のやつ……」
顎に手を添えながら久世さんが顔をしかめ、ポツリと呟く。
彼はお姉ちゃんとも同級生だったから、お姉ちゃんの事もよく知っている。
その目はじっと私の薬指を見ていた。
薬指に貼っていた絆創膏は久世さんに剥がされ、ピカピカの結婚指輪が彼の目に写っている。
左手の指の怪我が嘘だとバレてから、私は久世さんが怖くて事情をほとんど説明した。
逃げた姉の代わりに式に出たことや婚姻届に署名させられたこと、一ヶ月以内に姉が戻らなければ本当に結婚させられること、結婚指輪は外してはいけないこと、そして……刹那さんの家に同居していること。
久世さんに唯一言えなかったのは、刹那さんと一緒に寝たこと。
何もなかったけど……他の事を久世さんに話していくうちに、彼の纏っている空気が段々黒くなっていくような気がしてこれだけはどうしても言えなかった。
顎に手を添えながら久世さんが顔をしかめ、ポツリと呟く。
彼はお姉ちゃんとも同級生だったから、お姉ちゃんの事もよく知っている。
その目はじっと私の薬指を見ていた。
薬指に貼っていた絆創膏は久世さんに剥がされ、ピカピカの結婚指輪が彼の目に写っている。
左手の指の怪我が嘘だとバレてから、私は久世さんが怖くて事情をほとんど説明した。
逃げた姉の代わりに式に出たことや婚姻届に署名させられたこと、一ヶ月以内に姉が戻らなければ本当に結婚させられること、結婚指輪は外してはいけないこと、そして……刹那さんの家に同居していること。
久世さんに唯一言えなかったのは、刹那さんと一緒に寝たこと。
何もなかったけど……他の事を久世さんに話していくうちに、彼の纏っている空気が段々黒くなっていくような気がしてこれだけはどうしても言えなかった。