イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
右京さんは私に向かってウィンクすると、金色のカードキーを手渡す。

「僕も同じマンションの下の階に住んでるから、何かあれば遠慮なく言って」

……あなたは秘書というより、どこぞのアイドルでは?

学生の時は存在は知らなかったけど、確かにこのチャーミングな顔ならモテてたかも。

「ありがとうございます」

軽くお辞儀をして車を降りると、昨日刹那さんがしてたようにマンションの入り口でカードキーをかざし、部屋の前のドアも同じようにカードキーをかざして中に入る。

玄関前の廊下に、私のスーツケースと見覚えのある薔薇の花の模様の紙袋が置いてあった。

スーツケースには多分私の服が入っているのだろう。

紙袋は右京さんが言ってた刹那さんのプレゼントか。

開けてみたい気もするが、その前に確認したい事がある。

靴を脱いで中に上がると、手当たり次第に部屋のドアを開けて姉の荷物がないか確認した。

最後に今日寝てた寝室のドアも開けたけど、姉の荷物はどこにも見当たらなかった。
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