赤黒いバラ
家に上がると斗真の家族は居なかった。

話を聞くと、斗真の弟のサッカーの試合らしい。

断る理由もなくて、ここまで来たものの、流石に無防備過ぎたかな…

「それでさ、返事なんだけど。良いかな。」

真面目な目。

ここまで引っ張って答えがこれだなんて…

なんて私は情けないのだろう。

「やっぱりごめんなさい。人の目を気にして言ってるんじゃないの。ただ…。」

気になる人がいるの。と言いかけたが、止めた。

「なんで?理由をはっきりいってほしい。このままだったら、納得できない。」

「気になる人がいるの。」

「…もしかして、俺の知らないやつ?」

私は黙って頷いた。

はっきり斗真が見れない。段々俯いていく。

「桜って、塾とか行ってないし、まさかとは思うけど…その人…教師?」

私は頷くことも喋ることもしなかった。
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