赤黒いバラ
小鳥遊先生を連れて来た道を戻ったがいない。

教室?もしかして美術室?

無くしたとかほんとにない!

教室に入ると、私の机の上に『やぁ。』と言わんばかりの顔で鎮座していた。

焦った私が恥ずかしくなるほど堂々と鎮座していた。

「あれ…何。」

「タコるん28世です。」

一瞬沈黙になったが小鳥遊先生がいきなり笑いだした。

「本当に桜は見ていて飽きないな。あんなに堂々と鎮座されてると…。」

そんなに笑わないでよ…恥ずかしい。

とりあえず、28世をケータイにつけた。

先生はまだ笑っている。

いい加減蹴っても良いかしら。ムカついてきたわ。

私は少し強めに脛を蹴った。

「痛い!絶対弁慶の泣き所入ったって!いた!」

壁に頭をぶつける先生に私は笑ってしまった。

「なんか、久しぶりだな。そんな笑ってるの。」

ボソッと小鳥遊先生がそんなことを言った気がした。

「なんか言いました?」

「いや。ところで、なんで28世なの?」

「28代目です。」

「え…」

でも、事実28代目だ。家には28個同じものがある。

なぜか見つけると買ってしまうんです。
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