ねえ好きって言って 【完】
「べつに~零ちゃんに会いに来ただけ」




嘘つけ。
そんなにヘラヘラ笑いやがって。




美琴は俺の中学生のころの彼女だ。




昔から何を考えてるか
分かんねー奴だった。

今も何を企んでるんだか。




「本当のこと言えよ」

「だから会いに来ただけだって!」

「…帰る」




話にならん。
どんだけ経ってもこいつは
俺に本心を見せない。
昔っからそうだ。




「待って!零ちゃん!」

帰ろうとした俺を
少し焦った様子で止めた。



「零ちゃんに会いに来たっていうのは本当。零ちゃんのこと思い出してたらいてもたってもいられなくなって…」




なんだよそれ。
はぁ~と大きくため息をつくと
もう一度椅子に座り直した。
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