君と見つけた道
始業式が終わり、教室にもどってきた。
今日は帰るのが早いんだよね。
あー、先生の話ってだるい。
「えー、今日からまた新しい学年が始まります。今年はみんな受験生だ。自分に負けないように日頃の授業や勉強を大切にな。進路調査も近々するつもりだ。考えておくように。」
進路調査か…。先生ってば、なんか怖そうに言うなー。
「お前、高校どこ行くか決めてんの?」
黒田にいきなり聞かれた。
「決めてるわけないじゃん。まず、行ける高校あるの?って感じ。将来の夢もないしさー。」
「そうか。ま、俺も決めてないんだけどな。なんかまだ決めらんねー。俺はサッカーしてーけど。」
「いいよなー。黒田は。やりたいことあってさ。あたしはなんだろうな。10年後の自分に会いたいよ。」
「けど、俺もサッカー選手が夢ってわけではないよ?ただ、高校でもサッカーは頑張りたい。」
「うん。いいと思う。何か頑張るって素敵じゃん!」
「お前に素敵って言葉、似合わねー。でも、ありがとな。頑張るわ。」
「なんかひどいこと言われたような…。うん。ファイト!黒田!」
黒田もまだ夢は決まってないんだね。
でも頑張りたい事があっていいな。
あたしは部活も入ってないから頑張りたいってことないからね。
そんなことを考えながら、ぼーっとしてると黒田がまた話しかけてきた。
今度は愛と翔太と一緒に。
「今日空いてる?コイツらに誘われたんだけど、これから遊ばね?」
なんで黒田が誘ってくるの?
普通なら愛が…。
そう思って、愛の顔みると、やけにニヤニヤしてる。
「朱里、空いてるよね?!いこーぜ!」
愛に言われた。
空いてるし、まあ行くか!
「うん。空いてるよ〜。おっけー。メンバーはこの4人?」
「うん!あ、私と翔太はちょっと用事あるから、先行っててね!……ほら、いくよ翔太!」
「愛、まってよ〜ん!あ、じゃあまた後でねぇ!朱里、蓮!」
「お、おう。またあとで。」
「うん。また…。」
あたしと黒田は2人で昇降口に行った。
イケメンと歩いてるから…?
みんなに見られるんだけど。
女の子はもちろん、男の子まで。
黒田って男子のファンもいるの?
あー。なんかソワソワ聞こえる。
悪口言われてるの?!あたし…。
「どうした?中園。何キョロキョロしてんだ?」
「え、みんな、ずっとこっち見てんだよ?!黒田はさ、学校1かっこいいって言われてるから、あたし悪口言われてるのかなって…」
「んなワケねえだろ。見られてんのは俺だけじゃない。お前もだよ。」
「へっ?!あたし?!あ、もしかして朝の事で噂になってるの?…うそでしょーー。」
「ちげーよ。あぁ、もううるさいから、黙って前見てあるけ!」
「は、はいっ」
あたしは横目でみんなをチラチラ見ながら、黒田と同じペースで歩いて、愛達との待ち合わせ場所に向かった。