杏ちゃん、結婚しよ
Rings.2
「はい」
会社の帰り、突然の電話
タクからだった
「……………はい?」
額から汗が流れた
「……嘘ですよね」
目の前が真っ暗になった
走って
走って
苦しくなるのなんて分からないくらいに
「あの、タク…皆瀬巧は…」
病院の受付
「まだ、手術中ですね、こちらです」
案内されたとき、ちょうど手術室から出てきた
タクには色んな管が繋がれていて
身体中包帯だらけで
「タク……?」
「ご家族の方ですか」
「家族はいません、あたしだけです」
「とても危険な状態です。
我々は手を尽くしましたが…意識が戻るまでは安心できません」