【短編】きっと明日は
透明な君
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「おはよう杏祐」

教室に行くと、杏祐以外誰もいなかった。


時計を見ようと首をよじるが、壁にかかっているはずのそれはどこにも無い。


「あれ、時間間違えたのかな」

杏祐は穏やかに笑いながら《笹岡》とシールが貼られた机に腰かけている。


笹岡 杏祐(Sasaoka Kyosuke)は私の彼氏だ。

「どうして杏果がここにいるのかな」


挨拶は無視して杏祐が私に問いかける。


「私たちの学校だからでしょ?それより今何時?時計は無いし皆はいないし、変だね」


私も自分の《佐倉》と書かれた席に座る。



杏祐は少し驚いているみたいだ。

分かりにくいが、この反応は動揺している時の反応だ。


質問をするのが杏祐は苦手だから。


「…たぶん杏果は夢を見てるんだよ」

突拍子もないことを言いだした。


「夢?夢で学校なんか来ないよ。もっとファンタジーな所に行く」

夢まで学校とか嫌すぎる。
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