透明人間


俺は突然声をかけられた。



驚いて顔を上げると、黒いスーツをパリッと着こなしている長身の男が立っていた。


男の俺が言うのも何だが、かなりイケメン。



…って、いやいやいや。
待て待て待て。


しっかりしろよ、俺。

俺は俺にしか見えないんだぜ。



掌を見ると、相変わらず向こうの景色が透けている。



この兄ちゃんは俺じゃなくて俺の隣で弁当食ってる親子に話かけたんだろ。
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