―ある日―
コンクリの非常階段は、段の高さが低くて上りにくい。

何度かコケそうになった。
二段飛ばし位で上る。
家は4階だから少しへばってきた。

「ふぅ」
到着!!
少し心臓を落ち着かせないと…。

「さてっ」
家へ向かう。
私の家は非常階段側からだと5つ目。
エレベーター側からだと2つ目。
でも、エレベーター遅いんだ。
階段のが早い時もあるから。

着いた。
「ただいま」
玄関を開ける。
「お母さん、ごめん。今日…」

「なんでそう言う事、黙ってんのよ!!」

ビクッ

何?
すごい声。お母さん?

「そんな事言ったって仕方ないだろっ!!絶対お前はそう言うと思ったから」

お父さんも、いるの?
いったい、何の話?

「お母さん!ねぇ」
「失礼するよ」

バタンといきなり誰かがドアを押さえた。

「なっ…なんですか」
声が震える。
その人は明らかに普通の人じゃない格好をしてるから。
まるで、ドラマに出てくる、ヤクザみたいな……。

「お嬢ちゃん、ここの娘さん?」

「そ、そうですが」

「ここは白井さん家で良いのかな」

「はい。あのっ」

「上がらせてもらうよ」
土足で上がっていく怪しい人。
「ちょっちょっと!」

腕を引っ張られて、私も土足で上がらされる。



一体、何?
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