―ある日―
耳鳴りがする。

目の前が白くなっていく。

こんな……ことが?

ガッ

急に腕を掴まれて持ち上げられる。
え、何っ!?
「なんならお嬢さんはこちらで預かりましょう。見目悪くないんでいい稼ぎが上げられるでしょうしねぇ」

「きゃあぁぁぁ」

「おっと、いい声で鳴く。胸も見た目よりあるみたいだしねぇ」

痛っい……ッ!!
胸ッ……
耳に……気持ち悪い!

「下の方は、と?」
「ひィぁっ……」
太ももにっ!

「離せっ!!」

ドンッ

お父さんが体当たりして、開放される。
「あっ…ぁあっ……」
「小夜ッ!!」
お母さんが近寄る。
肩を抱く。


も、ヤダ……なんで、私……ぅっ!!

「貴、様ぁなんて事を…」

…………。
また、何か言い争いだす三人の、もう、聞きたくないっ

ゴトンッ

何か、落ちる音…?
顔を上げる。
三人の足下に、何か落ちてる。
黒い……なんだろう…?

カッガシャッ

お父さんの足に当たってこちらに滑ってくる。
な、に?
これは……

手に、ひやりとあたる…。
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