―ある日―
パタンッ

「はぁ……」

ドアを閉めて、つい寄り掛かる。

精神を削るってのはこんな感じなんだろうな。

「……まったく」

自分で思ってたより、神経ってのは細いもんだな。

「………てとっ」

玄関を離れて歩き出す。

ポケットに手を突っ込んで歩く。

その方が落ち着くんだよ。

優等生やってるくせにな。

「おはよう、圭くん」

顔を上げる。

「ああ、正志か。おはよう」

塚 正志。オレの幼馴染みで、やたらとオレにかまって来る。

まぁ、オレには唯一の昔馴染みでダチ。

「物好きだな、お前。わざわざこっち来たのか」

「嫌そうに言うなよ、圭くん。凹むだろ」

馬鹿だ。

「勝手に凹んでろよ」

なぜかオレを迎えに来る。

ほぼ毎日。

正志ん家の方が学校に近いのに、だ。

どうゆうわけか隣りを歩きたがる。

ガキか。

「……お前さぁ」

「ん?」

「いいかげん……その呼び方やめろよ」

不思議そうな顔したあと、気付いたらしい。

「あっ悪い。でもホラ、昔からだからなかなか、さ」

なかなか、じゃねぇよ。たくっ。

「人前では絶対呼ぶなよ」

「ハハハッ努力する」

笑い事じゃねぇ。
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