―ある日―
正志は保育園の頃からの馴染みで、昔は剣道も一緒にやっていた。

オレが始めたら正志も始めたんだけど、オレが先にやめた。

別に理由はない。

そう言えば、野球もそうだったな。

まったく……。

「正志」

「どした?圭くん」

「お前、もうオレに構うなよ」

「は?」

「は、じゃねぇ。知ってんだよ。お前、部活辞めただろ」

わかりやすいな。ギクッて感じだ。

「それはホラ、時期が時期だし。そろそろ勉強しないとさ」

「だけじゃない。中学入ってから、ほとんどダチと連んでねぇだろ」

図星かよ。どんだけだ。

「いいかげんにしろよ。オレなんかにかまって何が楽しい?」

「楽しいとか、そんな風に言うなよ」

「お前、オレなんかにかまってっとダメ人間になるぞ」

「オレなんかとか、そんな言い方するなよ、圭くん」

あ~あ、中3のくせになんて面してんだ。

オレは悪役か。

「………たくっ」

本当、物好きだな。
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