―ある日―
また、一つ、オレが死んだ。




目を開ける。

「起きたか、もう帰っていいぞ」

「はい」

ことが済むとヤツは机に向かう。

この忌わしい部屋は、ヤツの仕事部屋。

シナリオライター。

それがヤツの仕事。

どうでもいい。

服を着る。

死んでしまえ。

毎日、思わない事は無い。

「帰ります」

「ああ、気を付けろよ」

「はい。父さんも」

一礼して部屋を出た。

…………

「はぁー……」

長い溜め息。

オレは生きているか?

足は有るのか?

コンクリ壁にめり込む感覚は、逆に浮遊感のようで。

これ以上……

あまり長くは保たないだろうな。

保った方だとは、思うけど。

早く……

早くしなければっ!

でないと……

オレは崩壊する。
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