―ある日―
うさん臭いけど、頼れる人だ。

オレが中学上がりたての頃。

いきなりオレの所へ来て言った。

「気に入った。今から俺を竜彦って呼べ」

変人だ。

何をどう気に入ったとか、説明無し。

名字で呼ぶと怒る。

それからはやたらとオレに絡むようになった。

良く解らない喧嘩の試合とかに連れてかれたりもした。

チームがどうのって。

バレたらメンドイと言うと、

「フード被ってりゃ分かんねぇよ。なんなら面でも付けとけ」

とか妙な事言ってスクリームな面を渡された。

なんか外れてる人だ。

「…つか、入ってんなよ、勝手に」

「別にいいだろ。男同士なんだし。俺が俺の店のどこに居ようと」

「変態だな」

「ひでぇ…でもまっ久しぶりだなぁケイ」

「…だな」

コンッ

拳を軽く合わせる。

仲間のあいさつらしい。

……オレは仲間じゃねぇ。

いいけどさ。
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